ユノペン時々チャミペン。つまりトンペン。東方神起を応援するRed Oceanの一粒。

東方神起のユノとチャンミンを応援するブログです

おまえのいいところ1

みなさんこんばんは (。・x・)ゝ

コメントのお返事が滞ってますが、必ず書きますのでしばらくお待ちください^^;

それから。

DISC3でのお話がまだなのはわかってます。
小説のメインも止まったまんまなのはわかってます。
1周年企画タケルたち編もまだなのわかってます。

わかってる上でshort storyの更新です。

前回「あなたのいいところ」の続編になります。
目線がチャンミンからユノに変わりますが、一続きのお話です。

もしこれ以前のお話が気になる方は、最下部のINDEXより過去ログ遡っていただけると助かります。

注意事項:このお話は実際あったお話をヒントにアタシが作ったフィクションです。どうか現実と混同しないでください。そして今の東方神起を好きな方以外には不快な解釈があるかと思いますので、閲覧は自己責任でお願いします。

東方神起 ユノ チャンミン

SIDE:YUNHO




ダンスの練習中に、俺は足を怪我した。
ヤバいかな、とは思ったけど、見る見るうちに腫れてきたからさすがに焦った。

とりあえず連絡しようとスマホを握って、一番に頭に浮かんだ相手は迷わずスルーしてマネージャーにかけた。

「今スタジオなんだけど、ちょっと足怪我しちゃって。…結構ヤバいかなって。…あ、それと、チャンミンに連絡しといてくんない?怖いからかけるのやなんだよー。…うん、うん、お願いします」

一緒にいたダンサー数人が、迎えを待つ間足を冷やしたりしてくれた。
不思議と痛みはそんなになくて、それよりもこれから控えてる日本のツアーができなくなることの方が怖くて仕方なかった。

多分ツアーが中止になれば損害は数十億になるはずだ。

でも、金で払うなんて無責任なことじゃなくて、ツアーのために準備してくれているたくさんのスタッフの苦労は金じゃ返せない。

台無しにしちゃいけない。誰よりも俺が。


怖い、怖い、怖い…


どうしよう、チャンミン…



その時。
スタジオの重いはずの扉が、あり得ない勢いで開いた。

「え?あれ?」

マネージャーだと思ったら、そこに立ってたのはチャンミンだった。
チャンミンは俺を見つけると、こっちに向かってズンズン歩いてくる。

真顔が怖い。

俺の正面にビタッと立ち止まったかと思ったら、床に座り込んで投げ出した俺の足を見下ろして言った。


「マジなんだ?あはは」

俺は見上げたチャンミンが声しか笑ってないのを不思議な思いで見上げてた。
乾いた声はホントは笑っていなくて、ただ現実を受け止めようとしている目だけが変にしっかり見開かれていた。

チャンミンはしばらく黙って見下ろしてから、静かに俺の足の側に屈み込んだ。

足に巻かれた冷却剤入りの濡れタオルをそっと外して眉根を寄せる。

「…酷いな」
「…ごめん」

足首は元の2倍くらいに腫れ上がってたけど、なんだかチャンミンのが痛そうな顔してた。

だから俺はそれを見て、足より胸の方が痛かった。






2転3転するスケジュールの中、俺たちはファンに確かな約束をなにひとつしてあげることができなかった。

みんな不安を感じて、SNSで俺たちに不信感を持つ声があがっている。


ごめんね、何も言ってあげられなくて。


言えない言葉がたくさんあって。
伝えられない思いがたくさんあって。

本当は焦ってばかりいたんだ。

早く、早く…って。

でもそんな俺を見て、チャンミンが言ったんだ。

「こんなに大切に思ってるのに、伝わらないわけないでしょ?」って。

もうすぐ、みんなの笑顔が見れるからって。

だから俺は、ただ黙って頑張った。
頑張るしかできなかったけど、頑張れただけ楽だった。




そんな思いを乗り越えて、やっとツアーの約束までこぎつけたんだ。
だから辛い思いをさせた分、最高のステージを見せなくちゃって。

なのに…。

「わざとじゃないんだから。謝らなくていい」

チャンミンはそう言って、言葉が出てこない俺に声をかけた。
ツアーが控えてるのにどーするんだとか、全く言わないで俺の側で座ってる。


「でも…」
「延期したっていいじゃない」

チャンミンのその言葉に、俺は弾かれたように首を激しく横に振った。


延期?やっとここまできたのに?

このために頑張ってきたのに?



嫌だ、嫌だ、嫌だ!
なんでそんなこと言うんだチャンミン!

言葉が出て来なくて狂ったように首を振ったら、チャンミンの両手が俺の頭を鷲掴みにして止めた。

「ユノが声出ないっていうんなら、いくらだって僕が歌ってあげるけど!ユノのダンスを代わってあげることは僕にはできない!」

無理やり視界に割り込んできた強い眼差しは、次の瞬間に泣きそうに揺れた。

「ってゆーか、ユノのダンスは、誰にも代わってあげることはできないんだよ?」

眉尻が下がって、困った時の顔になる。
だから俺はやっと、チャンミンを困らせてるんだってわかった。


でも。

「でも、延期はダメだ。絶対治すからっ」
「だったら約束して」
「約束?」
「迷惑かけるからって無理するくらいなら、迷惑かけていいから無理しないで」
「チャンミン…」

チャンミンの言葉は、いつも有無を言わせない説得力がある。

「わかったよ」

素直に頷いた俺に、納得したようにチャンミンの目が優しくなる。

「僕以外だと遠慮するでしょ?だから全部僕がやるから」
「また嫁さんとか言われるぞ?」
「いいでしょう!言わせるつもりでやってやろうじゃありませんか!言わせるんだから言われても平気ですよ!はっはっはっ!」

変なテンションの宣言は、俺の気持ちを軽くするため。

そして俺の頭を掴んだままの指先と、チャンミンの優しい声。

「大丈夫。大丈夫だから」
「うん」

チャンミンのおでこが、俺のおでこにくっついて。
だから俺たちは、二人て祈るように目を閉じた。

「とにかく治そう?」
「うん」

チャンミンがいてよかった。
悔しいけどちょっとだけ、ほんのちょっとだけ泣きそうになった。










その日から俺は、すっかりチャンミンがいないとダメになった。

打ち合わせのため事務所に来て、スタッフからの差し入れでアイスをもらったけどチャンミンがいない。
大きな袋に手を突っ込んで、たくさんのカップアイスをより分ける。

「俺はいちごで~チャンミナはバニラ~」

それをふたつ小さいビニール袋に入れて、スプーンもふたつ入れて松葉杖で立ち上がった。

チャンミンどこに行ったんだ?
多分その辺にいるんだろう。

慣れない松葉杖をつきながら、俺は事務所の中をビニール袋をぶら下げて探し回った。

「ちゃんみぃん…アイスぅ…食べよぉ…?」

思い当たるところをあちこちのぞいてみたけど、どこにもいない。

もー、アイス溶けちゃうだろー。

自分でもなんでいちいちチャンミンを探してるんだと思う。
でもいないと落ち着かないし、一緒に食べないと気が済まない。

チャンミン依存症だ。

迷惑だろうなとは思うけど、足が不安で落ち込みそうになっても、チャンミンがいてくれるだけで落ち着くんだ。
精神安定剤みたいなもんなのかな、と思う。


ウロウロ探し回って、ミーティングルームの前に差し掛かった時、中からチャンミンの声が聞こえてきた。
入ろうと思ってノブに手をかけたけど、電話中らしいと思って躊躇った。

「もちろんダンスナンバーはなしですよね?はい、それでお願いします。ホントすいません。必ずツアーで挽回してみせます。大丈夫です。ユノならきっと間に合わせますから」

日本語で話してるってことは、相手は日本のスタッフだろう。
きっとこのあと控えてるリリースイベントの話だ。

心配してるだろうと、チャンミンから直接かけたに違いない。

ホントは俺がかけなくちゃいけないのに、気が回らなかった。
なのにチャンミンは、俺に黙って自分が代わりにやってくれてる。

チャンミンの気遣いには、ホントいつも頭が上がらない。俺は自分がみんなを引っ張っていくことに必死で、こういう配慮に欠けることが多いんだ。

そんな時、俺の知らないところで必ずチャンミンがフォローしてくれている。
俺は後でそれを知って、でもタイミングがずれてしまってからだからお礼も滅多に言えないまんまで。

損な役目ばかりさせちまってるのに、チャンミンは一度も不満を口にしたことはない。

だからきっと俺は、チャンミンにだけは甘えられるんだ。チャンミンがいなかったら俺は、もうとっくにダメになってたかもしれない。

チャンミンがいなくなったらどうしよう。
時々そう考えて、どうしようもないほど怖くなる。

「…何してんの?」

いきなり目の前にチャンミンが立っててビックリした。

え?なんで俺ここにいるんだっけ?と慌てた瞬間持ってたビニール袋がガサガサと音を立てた。

「あ、アイス…そうそう、チャンミンとアイス食べようと思って」
「わざわざ呼びに来なくてもすぐ戻るのに」
「だってアイス溶けちゃうから」
「はいはい。あんまり動き回らないでね。ほら、アイスかして」

手を差し出されて俺は素直にアイスを手渡した。
そしてチャンミンと並んで歩き始める。

チャンミンの歩くスピードは当たり前みたいに俺に合わせてくれてて、そんな小さなことにも嬉しくなった。








「なぁチャンミン、俺ちょっとの間入院するわ」

並んでアイスを食べながら、俺はボソッと言った。

「え?そんなに悪いの?」
「じゃなくて、少しでも早く治すためだよ」
「いつから?スケジュールは?入院だったら支度しないと」
「たから大丈夫だってばっ。支度くらい自分でできるわっ」
「それは無理。必要ないものばっかり詰めて、必要なもの忘れるに決まってる」

…反論できない。

「そ、そーかもだけど!じゃなくて、ここんとこずっと俺にかかりっきりだろ?だから俺が入院してる間、旅行でも行ってこいよ」
「は?ユノをおいて?なにそれ?」
「入院してる間はおまえがいなくても病院の人がいるから大丈夫だし。それにツアー始まったら休みなんて取れねーんだから、今のうちに休んどけって」

チャンミンが優しくて嬉しかった。
うちにも泊まり込んでくれて、二人で暮らしてる頃みたいだし。

でも反面、足が治ってまた元の暮らしに戻ったらさみしくなるだろうなとか。
一旦離れてからだから、前よりさみしく感じたらどうしようとか。
やっと慣れたとこだから、そんな心配ばかりする。

それに、チャンミンが無理してるんじゃないかなって。
それはさみしくなるより嫌だった。

「僕だけ休むなんてできるわけないでしょ?」
「俺は自分の不注意でこんなことになったんだからいいんだよ。それに、俺とべったりいてツアー前にストレス溜まってもマズイし」

俺がそう言った途端、チャンミンは物凄い勢いでまくし立てた。

「まだそんなこと言ってるの?!僕が一人暮らし始めたのはユノといるのが嫌だからじゃないってあれほど!」
「わーかってるわ!わかってるけど!おまえ、俺のことばっかで全然自分のことできてねーし!だからほんと頼むよ。これからもどーせチャンミンの世話にならなきゃだし。今のうちにゆっくりしといてくれよ」

もーっ。喧嘩したいわけじゃないのに、いつもこうなるのはなんでだ?

「…わかった。じゃあキュヒョンと食い倒れツアーでも行ってくる」

ほら出た。

「またキュヒョンかよ」
「なに?ヤキモチ?」
「うるせーな」

キュヒョンキュヒョンて。
何かあるとそればっかりだ。

俺が不貞腐れてると、チャンミンは食べ終わったアイスのカップを片付けながら言った。

「今度まとまった休み取れたら、二人で旅行でも行く?」

今なんつった?

「は?俺と二人はヤだってゆってたじゃん。キュヒョンとは行くくせに」
「インタビューで言うからでしょ。いい加減学習してよ」
「何の話だよ」
「僕は仲良しアピールを期待されると逆らいたくなる」

なんだそれ?

「チャンミンはめんどくさすぎる!俺はてっきりチャンミンは仕事以外で俺とは!」

文句を言いかけた俺の口を、チャンミンは強引に手のひらで塞いだ。

「んぐっ」

いてーわっ!

「もー。なんでわかんないの?僕はどこで、誰といても、in 東方神起なんだよ」

わかりなさいよ、と言ったチャンミンの眉尻が下がって、困った顔になった。
そしたらなぜか俺は恥ずかしくなって、チャンミンの指に噛み付いた。

「うわ痛っ!てか汚なっ!」
「あはーはーはー」

とにかく早く治そう。
チャンミンがいるから大丈夫。

うん、大丈夫だ。







それからいくつかの仕事をこなして、俺は病院に入院した。
俺が入院してる間チャンミンは、キュヒョンと旅行を楽しんでるようだった。

毎日何回も写メを送ってきては、行った先や食べた物を教えてくれて。
土産物屋に入っては俺への土産を選んで「どっちがいい?」なんて写メで聞いてきたり。

まるで一緒に旅行してる気分になるくらいで。



そしてどの写真にも必ず

「창민 in 東方神起」

の文字が入れてあった。



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2014-09-14 : おまえのいいところ : コメント : 1 : トラックバック : 0
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あなたのいいところ2

お久しぶりです。

近いうちにと言っておきながら、かなり時間がかかってしまいました。
作家じゃなくてよかったです。
アタシに〆切を守るのは不可能です(´-ω-`)

実は大半出来てたんですが、大幅に加筆修正しました。
そしてこのお話はいったん終わりますが、次の「おまえのいいところ」に続きます。

アタシなりにいろんなメッセージを込めてみました。

そして何度も言いますが、これはドキュメンタリーではなく実際にあるワンシーンからアタシが作ったフィクションですww

あと、前のお話忘れちゃった方、読んでない方は参考までにあなたのいいところ1をご覧ください。

注意事項:このお話は実際あったお話をヒントにアタシが作ったフィクションです。どうか現実と混同しないでください。そして今の東方神起を好きな方以外には不快な解釈があるかと思いますので、閲覧は自己責任でお願いします。

東方神起 ユノ チャンミン

SIDE:CHANGMIN

去年のツアーで、ユノは泣いた。

レッドオーシャンが、白い海原に変わって。

その場所に辿り着けた喜びに、ユノは、忘れていた涙を取り戻した。

だから僕は涙を堪えて、ただ黙ってその横顔を見つめていた。

誰よりも頑張ったあなたに。
僕はその瞬間の全てを捧げた。

初めて知る、あなたの気持ち。

あなたはずっとこうやって、僕たちを見守ってきたんだね。





リハーサルのためにステージに向かう廊下で、歩くユノの背中を見ながら僕は思った。

僕とユノが、過去に嫌と言うほど思い知ったこと。

どんなに大切にしても、失ってしまうものがあるって。

だからユノはたぶん無意識に、全力で守ろうとしているんだ。
もう2度と失わないために。

あの時負った傷は、ユノの方が遥かに深い。

あなたのせいじゃないんだと。

何度そう言い聞かせても、ユノは寂しそうに笑って首を横に振った。

僕はたぶん、急ぎすぎたんだ。

あの時ユノが全力で守ってくれたことを、忘れちゃいけなかったんだ。




「なぁチャンミン」

前を向いたまま、後ろにいる僕にユノが言った。

「なんでわかった?」

あぁ、さっきの話か。

「何年一緒にいると思ってんの?」
「んー、9年?いや、違うな、10年?違うか?」
「いや、そこは重要じゃない」
「じゃあどこだよ」
「こんなに長い間四六時中一緒にいるんだから、ユノの考えてることくらいわかるでしょって話」

そう言ったら、ユノは立ち止まって俯いた。
だから僕も立ち止まった。

「そっか」
「うん」
「ダメだな、俺」

僕が何を言いたかったのかを理解して、ユノは自分を責めている。
僕は危うく、とんでもない間違いをおかすところだったのかもしれない。

ユノにとって日本のスタッフは、何年も時間をかけて信頼関係を築いてきた韓国のスタッフとは違う。
ユノは二人になってからも変わらず支え続けてくれる日本のスタッフに心の底から感謝し、大切に思っているに違いない。

なのに僕は、韓国でのリーダーとしてのユノを押し付けていたんだ。

「とにかく、行きましょう」

もう一度仕切り直しだ。

ユノの肩を抱いてステージへ促したら、ユノは気を引きしめるように顔を上げて歩き始めた。



ステージでリハを重ねながら、隣りで踊るユノを目の端で追う。

あー、この人は本当に、ステージに立つために生まれてきたんだな。

東方神起の将来も、そして僕の将来までも背負って。
二人で歩き始めてから東方神起が正念場を迎えた今、ユノは1人でどれだけのプレッシャーと戦っているんだろう。

なのに僕は…。


演奏が終わって、ステージ上で僕たちは動きを止めた。

何気に顔を上げると、ユノが客席に向かって何かを言いかけていた。

ユノはまた、1人でプレッシャーと戦おうとしてる。
そう仕向けたのは僕だ。

僕が無理矢理背中を押した。

遠くからステージを見てるSAMさんに、ユノは意を決して言葉を吐き出す。

「今のところなんですけど…」

ユノを引き寄せて黙らせてしまいたい。
でもそれじゃだめなんだ。

だから僕は、その先の言葉を強引に奪った。

「正直言って、かっこよくないと思います」

ただ、ユノを守りたかった。
それだけだった。

なんで気がつかなかったんだろう。

僕がユノの背負った荷物を、ほんの少し持ってやれば済むことだったのに。

「待って。今そっち行くから」

SAMさんが、そう言ってマイクを切った。

少し沈黙が流れて、ユノがこっちを見た気配がした。

「チャンミン」
「なんですかー」

もー、こっち見るな。
どんな顔していいかわからないじゃないか。

「なー、チャンミンて」
「だからなにっ」
「今日はラーメン、二人で食いに行くか」

驚いて顔を上げたら、ユノは俯いていた。
でもその横顔は、照れ臭そうに微笑んでいた。



あれからユノは夢中になって、自分の頭の中にあるフォーメーションをみんなに伝えた。

僕は余計なことをしたと後悔した。

だってそこからの練習量が、マジで半端なかったんだ。

ダンサーさんたちも必死で食らいつくようにして、ユノのフォーメーションを体に叩きこんでいた。

地獄のような練習が終わって、僕は床に体を投げ出した。

大の字になって屋根を見上げながら、そー言えばコレってユノがよくやってたっけ、と思った。

「ふーん、なるほどー」

って言ったけどユノの気持ちはさっぱりわからない。

わからないけど、ユノの見ているものを僕も見ているんだと感じた。

同じものを見て、同じものを目指すことに意味があるんだと思ったら、少しユノがわかった気がした。





練習がはけて、僕とユノはこっそり抜け出してタクシーに乗り込んだ。

ラーメンを食べるために。

「ちょっとユノ、オーラ消してっ」
「は?」

なんでだろう、ユノはやたらと目立つ。
特別派手な服を着ていなくても、なぜかみんなが振り返るんだ。

日本では僕たちに対するガードがしっかりしてて、その反面勝手な行動は許してもらえない。

だから僕たちは、まるで親に内緒で夜遊びする中学生みたいなマネまでしたのに。

「あんた目立つんだってっ」
「それはお前もだろ」

確かに僕はデカい。
でも絶対目立つのはユノだ。

デニムの短パンにTシャツにサンダルばき。
なんてことないキャップ。

なんでこれで目立つんだ?!

「ダメだ、コソコソしても絶対目立つ」
「だったらもういーじゃん。日本だしバレねーだろ」
「僕たち二人でラーメン屋にいるとこを写メにでも撮られたら、即ツイッターで激流が起きるじゃないかっ。しかもデートとか言われるに決まってるしっ」
「別にいーじゃんそれくらい」
「僕は嫌だ!」
「じゃあどーすんだよ。やめるか?」
「それもいやだ。負けた気分になる」
「ったくチャンミンてめんどくさい」

そう言ってユノは、クソ狭いタクシーの後部座席で足を組んだ。

長すぎて邪魔だから組むな。

ムカつくから僕も組んだら、余計狭くなってイライラした。



店の前にタクシーを止めて、僕たちは作戦会議をした。

「いい?店に入って右側の奥が個室だから。客席に背中向けて壁伝いに歩いて素早く個室に逃げ込む」
「わかった!まかせろっ!」

ユノはノリノリだ。
それが一番不安だった。


案の定、店に入った途端ユノがもたついた。

「ちょっと、早く行ってよっ」
「横歩きって難しいんだけど」

運動神経はいいくせに、誰にでもできそうなことには鈍臭い。

「あんたのダンスのがよっぽど難しいでしょっ。早く行けっ」

イライラして肩で押したら。

「もー、押すなよチャンミン」

と、デカい声でユノが言った。

「ちょっ!」

ヤバい。

しかも。
あれ、東方神起じゃない?の声に。

「え?」

ユノは思いっきり振り向いた。


結局バレバレの中、僕はユノの背中を押して個室に逃げ込んだ。

ラーメンをすすりながらユノが言う。

「なーなー、なんでバレたんだ?」
「ユノが僕の名前呼んだからでしょ!」
「有名人だなチャンミン!」
「じゃなくて!チャンミンなんて名前日本にないから!」

しかも呼ばれて振り返ってるし。
幼稚園児か。

「そっか、じゃあかきやんて呼べばよかったな」
「やめろ!僕がかきやんになったらどーするんだ!」
「え?ならねーだろ?」
「なるわけないでしょ!」

真面目に返すなっ。

ったく!

かっこよくて頼れると思っていたら、とんでもなく手のかかる人で。

「それよりどう?フォーメーション。イメージ通り?」
「うん」
「よかった」

憧れだった存在は、誰よりも大切な存在に変わった。

腹が立つことの方が多いのに、何度喧嘩しても必要だと思い知る。

何なんだろうな、ユノって。

「やっぱ俺、チャンミンの歌好きだわ」
「急になに?」
「リハで聞くたびに思うんだよ。明日は客席に座って聞こうかな。おっ、それいいなっ。すげー贅沢じゃん?」
「何1人で盛り上がってんの」

自分では足りないものばかりだと思う僕を、ユノは大袈裟なくらい褒めてくれる。

それは素直になれない僕には、ちょっと居心地が悪くて。

でもそれがユノのいいところ。
人の悪いところより、いいところを見て。

嫌いな人を作らずに、大好きな人を増やしていく。

「あんまり人前で言わないでよ、恥ずかしいから」

そう言ったら。

「いーじゃん。チャンミンの歌は俺の自慢なんだから」

なんてまた、そんなセリフを恥ずかしげもなく言う。

なにゆってんだ。
あんたのダンスこそ僕の自慢なのに。

ユノが人前で踊った瞬間に沸き起こる歓声が好きだ。

僕が唯一素直になれるのは、ユノのダンスが絶賛された瞬間。

満足げな僕の表情は有名らしくて、いつもカメラに抜かれる。

世界一のユノペンの座と、ユノの隣は誰にも譲らない。

でもそれさえ本当は、ユノが守ってくれている。
自分には僕が必要なんだと。
そう人前で口にすることで、僕を守ってくれているんだ。

「ユノにはかなわないなー」

思わずつぶやいたら。

「は?なにが?」

言いながらユノが、僕のチャーシューを勝手に食べた。

「あんたまだ自分のチャーシュー残ってるでしょうがっ」
「チャンミンのチャーシューが食べたかったのっ」
「同じ味じゃないかっ」
「わかってるわっ」

そう言って僕の丼に自分のチャーシューを2枚入れた。

「利子はいらない」
「もういらないから食ってよ」

ユノといると、優しい気持ちになる。

手がかかるし無茶ばっかりするし自由すぎるし。

でも。

アーティストとしても、人としても。
こんなに素晴らしい人はいないと思うんだ。

「俺、チャンミンいないとダメだと思う。だから、腹が立つことあるだろうけど、頼むな」
「ユノもね」
「うん」

だから僕は、あなたのいいところを守りたい。
お互いそうやって支え合うのが、僕たち二人の東方神起なんだろうなと思うんだ。

ですよね?ユノ。





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2014-08-30 : あなたのいいところ : コメント : 6 : トラックバック : 0
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あなたのいいところ1

夏季休暇中に2本上げると偉そうなことゆって、結局最終日ギリギリの投稿となりました。
今回は久しぶりにshort storyになります。

もしメインの続きを気にしてくださってる方がいらっしゃったらごめんなさい。

しばらく前の「あの場面」を基にしたフィクションです。(←あえて妄想とは言わない)
「あの場面」は、今回はまだ出てこないので今は完全フィクションですが。
次あたりから「あの場面」がどの場面なのかわかると思います。
続きは近いうちに上げますので、お暇でしたらお付き合いください。

注意事項:このお話は実際あったお話をヒントにアタシが作ったフィクションです。どうか現実と混同しないでください。そして今の東方神起を好きな方以外には不快な解釈があるかと思いますので、閲覧は自己責任でお願いします。

東方神起 ユノ チャンミン


SIDE:CHANGMIN



「いいかげんにしろチャンミン!」

リハーサル中のライブ会場で、ユノの怒鳴り声が響き渡った。

物凄く珍しい光景だった。

ユノが声を荒げるほど怒るなんて僕ですらほとんど見たことがない。
ましてや僕を人前で怒鳴りつけるなんて、今まであったか?と思う。

ユノは、自分が我慢して収まることならどんなことでも飲み込んでしまう。
普通なら言わないと気がおさまらないはずのことでも、ユノにとっては我慢した方が楽なんだ。

平和主義でも気が弱いわけでもない。

これはユノの優しさなんだ。

そして言わない選択をできるユノは、僕なんかよりずっと強いと思う。
自己犠牲なんて、そんな選択ができるほど僕は器がでかくない。

今ユノが怒ってるのは、ここにいるみんなを思ってだ。

わかってる。
ユノが怒るのは誰かを思ってのことだって。
そして怒らせた理由は間違いなく僕にある。

「おいユノ、落ち着け」

SAMさんが、ユノを宥めるように割って入った。

ユノは黙って、座り込んでる僕を見下ろしている。
そして僕は、そんなユノを見上げて睨みつけていた。

ユノは正しい。
でも引かない。
悪いのは僕だけど、今回だけは絶対ユノに謝る気はなかった。

「よし、一旦休憩挟もう。30分後に集合だ。解散!」

SAMさんの声で、みんなバラバラに散らばった。
SONNYさんが立ち尽くして動こうとしないユノの肩に、促すように手を置いた。

「ユノ、行こう」

言われて、ユノは足を踏み出した。
すれ違いざまに見たユノの横顔は、悲しげに曇っていた。

気配が遠のいて、座り込んだままの僕の横に、SAMさんが並んで腰を下ろした。

「どうしたチャンミン、何が気に入らないんだ?」
「あー、ごめんなさい。雰囲気悪くしてしまって」
「なんでユノが怒ったのかはわかってんだろ?」
「はい。みんなの前で僕が態度悪かったからです」

僕は気に入らないことがあると顔に出る。
だからって周りの雰囲気が悪くなるほど極端なことはしない。

そんなことになるくらいなら口に出す。

普段なら。

「俺たちは気にしないけど、ユノはそーゆーの嫌がるからな」
「はい。わかっててやりました。だってユノが悪い」
「ユノがなんかしたのか?」
「なんかしたんじゃなくて、なんにもしないから腹が立ちました」
「どーゆーことだよ」

本当は、態度を悪くするほどのことじゃなかった。
口で言えば済むことだったんだ。

でも、それで解決することばかりじゃないと思った。

「だって、さっきのフォーメーション、直してほしいくせに言わないから」
「そうなのか?」
「はい」
「あいつ、そんな顔してたか?」
「してません。ユノは絶対顔に出さない」
「だったらなんでわかるんだよ」
「あー、それはー、…わかりません。でもそうなんです」

そんなものは感覚だから、何でと聞かれても何となくとしか言えないけど。
だって、一緒に暮らしてもう10年になるんだ。
嫌でも考えてる事くらいわかる。

今回のツアーは2人になって2度目の日本ツアーで、前回固めたスタッフとの信頼関係をさらに高めたい思いは僕にもある。

それはユノも同じはずで、だからなるべくみんなの意見を尊重したいのはわかるんだ。

わかるんだけど。

「だからってなんでチャンミンが怒るんだよ」

何でって、腹が立つから仕方が無い。

「だって、ユノがいいと思った方がいいに決まってるから」

ユノは自分をわかってない。
そこに腹が立つ。

「はっきり言うなーww」

SAMさんの豪快に笑う声で、僕はハッとした。

「あー、すいませんっ!そんなつもりじゃなくて!」
「わかってるって。俺よりユノのセンスの方がいい時なんていくらでもある」

SAMさんはわかってくれている。
誰よりもユノのパフォーマンスを認めてくれている人だから。
ユノの人間性も努力も、ちゃんとわかってくれてるから。

なのに。

これだけ努力して、みんなに感謝して、誰よりもステージを愛しているユノの意見を素直に聞けない人なんてここにはいない。

それをわかってほしかったんだ。

「遠慮せずに胸を張って言えばいいのにと思ったけど、どーせ言わないから怒らせてやろうと思って」
「喧嘩した勢いで本音吐かせてやろうって?」
「あー、はいはい。そうです、それです」
「チャンミンがイライラする気持ちはわかるけど、ユノには苦痛だと思うぞ?」

そうなんだ。問題はそこなんだ。

「…ですよねー」

ユノは強過ぎるんだ。
スタッフの案を否定せずに、求められた以上の結果を出そうとする。
実際、おかしいと思った振付さえ、ユノが踊れば個性的という解釈に変わってしまう。

でもユノの中にはスタッフ以上にいいものがあって、それをたくさん無駄にしてきたはずなんだ。

でもSAMさんの言うように、それを口に出すのはユノにとって苦痛に違いない。

ユノは優しい。
人を否定した後、物凄く反省するに違いない。

僕はユノに、酷いことをしたのかな?
そう思った途端、急激に後悔した。

黙り込んだ僕に、SAMさんが言う。

「ユノは俺たち日本のスタッフに、心から感謝してくれてる。だから全力で絆を守ろうとしてくれてるんだ。でも、チャンミンの言いたい事もわかる。遠慮を乗り越えて今以上の信頼関係を作りたいんだろ?」
「そうなんです」

SAMさんは日本語がうまい。
さすが日本人だ。

「そこをなんとかできるのは、チャンミンしかいない。頑張れ」

そう言ってSAMさんは、にっこり笑って僕の肩を叩いた。

「僕ですか?えー?嫌だ。めんどくさい」

本気で嫌そうな顔をしたら。

「うそつけー。ユノのためならなんだってできるくせに」
「なんでそうなりますか?お?僕はそんなに優しくない」
「そう思ってるのはチャンミンだけだ。とにかく、ユノは任せたからな」

僕にユノを任せる?
そんなことされても困る。
ユノはとにかくめんどくさい。

めんどくさいんだけど。

「わっかりましたー」

でもユノを他の誰かに任せるのは、めんどくさい以上に嫌だった。



控室に戻ったら、ユノはダンサーさんたちとふざけて踊っていた。
自分のせいでリハが頓挫したことを申し訳なく思って、場を盛り上げているに違いない。

だから僕は扉を開けて踏み入ったそこで室内を見渡し、大声で言った。

「ごめんなさいっ!すいませんでしたっ!」

腰を90度に折って、僕なりに誠心誠意謝った。

僕の大声にみんな振り向いて、即座に笑みを返してくれる。
それに答えて僕も笑顔になって、でもユノの視線にだけは気付いてても目を合わせることができなかった。



ユノはとても人を気遣う。
感謝の言葉も謝罪の言葉も、口にすることを躊躇わない。

でも実は僕に対してだけは、案外言葉が重くなる。

今も実はユノが僕を気にしてる気配を感じてて、それが妙に居心地悪い。
でもユノの重い口が開くのを待ってたら、いつになるのかわからないし。

だから僕はパイプ椅子を引き摺って、ユノが座ってる横に並べて座った。
いつもより近めに椅子を置いたら、肩先が触れたけどそのままでいる。

ユノも触れたからといって、離れようとはしなかった。

「休憩って、あと何分?」

ユノにそう聞かれて、壁の時計に目をやる。

「多分、あと10分?」
「そっか」

で、黙り込む。

だから仕方なく

「ラーメン食べたい」

僕がそう言ったら。

「昨日食ったじゃん」

とユノが答えた。

そうじゃない。
そこは「じゃあ帰りに食いに行こう」って言えば約束ができて、それで仲直りが成立するとこだろう。

空気読め。

無理か。

「嫌だ。ラーメンがいい。ラーメンじゃないと嫌だ」
「わーかったわっ。じゃあラーメンな」
「うん」

これでよし。

落ち着いたところで、やけに周りがしんとしてることに気付いた。

まさかと思って顔を上げずに上目遣いで辺りを見渡したら、みんながこっちを見てニヤニヤ笑ってた。

やられた。

みんな僕たちのやり取りに注目してたみたいだった。
僕は一気に力が抜けて、テーブルに突っ伏した。

恥ずかしい。

「どーしたチャンミン?!どっか痛い?なぁおいっ!」

ユノが見当違いなことで慌て始めたから。

「疲れた!」
「だったら休憩伸ばすか?無理すんなよ?」
「やる!サボっちゃダメでしょ!」

僕がそう言ったら。

「もー、チャンミンてめんどくさい」

ユノの一言に、スタッフ全員笑い転げた。

そして僕たちはしばらくして、再びリハを再開した。




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2014-08-17 : あなたのいいところ : コメント : 6 : トラックバック : 0
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俺と僕の距離 4

東方神起 ユノ チャンミン

SIDE:YUNHO

今日のチャンミンはテンションが高い。

適当に入ったパブの個室で、チャンミンはテーブルに上半身を寝そべらせて、最近あった話を聞かせてくれる。

「でさー、ホドンヒョンがユノヤに言いつけるぞー、ってゆーから、それだけはやめてくださいって土下座したんだー」
「なんだよそれ。俺のことなんか怖くねーくせに」
「怖くない、ことはない」
「嘘つけ。いつも好き放題ゆってんじゃねーか」

呆れたように俺が言ったら

「嫌なのかー」

って不貞腐れた。

「嫌じゃねーよっ。もーおまえ飲み過ぎ」

チャンミンは俺と飲む時、早い者勝ちだって言って必ず先に酔っ払う。
で、酔っ払うと昔のチャンミンに戻るんだ。

最近じゃ俺よりしっかりしてて立場が逆転してしまったから、叱られるのも構ってもらうのも俺だけど。
こうなったチャンミンは、すっかりマンネに戻って俺に甘えまくる。

それは2歳の年の差が、今より大きかった頃のように。

「僕はー、僕だけがユノに好き放題言うのがいーんだ。僕以外は駄目」
「なんだそりゃ」
「そんな奴はぁ、抹殺する」
「こえーよバカ」

駄目だ、目がすわってきてる。

「僕はぁ、本気だ!…ふふふ」
「おっかねーなっ。ほらっ、もー帰るぞっ」

もう少し可愛いチャンミンを見ていたいとこだけど、こいつ、明日は別の撮影が入ってるはずだ。

このへんにさせとかないとマズいはず。

「えー?もう?」
「おまえ、明日撮影だろ?送ってやるから。な?」

小さい子に言い聞かせるように言ったら

「じゃあ、僕んちきて」

そう言って唇を尖らせた。

「いや俺、明日朝から打ち合わせなんだよ」
「ユノはー、可愛い弟のお願いを聞いてくれないのかー」

駄目だ。
こーなったチャンミンは何を言っても聞きゃしない。

「わーかったわっ!行くから立て!歩け!」
「えー、どっちかにして。いっぺんにできない」
「まず立て!そして歩け!」
「おっけーぃ♪」

ご機嫌さんで立ち上がったチャンミンはヨロヨロしてて、危なっかしいから俺は肩を組んで抱えるように店を出た。



「もー駄目だぁ、無理っ」

玄関に入るなりチャンミンは、上がりもせずに寝転がり、大の字になってしまった。

「こらぁ、せめてベッドまで歩けってー」
「ユノー、脱がせて」

そう言って細長い右足をピコンと上げる。

「ったく!」

俺はチャンミンの足から靴をもぎ取って、玄関に放り投げた。

「靴は揃えろー」

酔ってるクセにこまけーなっ!

「はいはいはいはい!」

邪魔臭そうに靴を揃えながら、チャンミンがここまで酔うのは久しぶりだなと思う。

そして大抵、理由があるんだ。

「ほら、立てよ」

そう言って振り返ったら

「立たせて」

両腕を上げてプラプラさせた。

「アホか。おまえのがでけーのに無理だろ」
「でも僕のが軽い」

なんだと?!

「そこで寝ろ」

無視して中に入ろうとしたら

「いやだぁ」

踏み出した俺の足にしがみつきやがった。

コケるわ!

「あっぶねーなっ!ほらっ、手貸せっ」

結局俺はチャンミンの腕を掴むと、引っ張り上げて立たせた。



立たせたもののふざけて歩こうとしないから、仕方なく背負って無理やりベッドに運んだ。

放り投げてやろうと思ったら俺の首に回した手を離そうとしなくて、しょうがないから一緒に倒れこむ。

そしたらチャンミンはベッドの上でモソモソ動いて、俺の脇腹に抱きついておとなしくなった。

こら、足まで乗っけるな。
重てーな。

ってゆーか、なんで俺まで寝てんだ。
まぁいいや。起きてからシャワー借りればいいか。

いつも丸くなって寝る俺には、大の字は寝づらいはずなのに。

しばらくしたらなぜか意識がフワフワしてきて、乗っかった重みも心地よくなってきて。

あ、チャンミンがいるからか、と思った。

「ユノぉ、僕いなくて寂しい?」

俺の脇腹に顔を押し付けて、チャンミンが聞く。

「もー慣れたよ」

眠りに落ちかけた意識の中で、俺が答える。

「寂しかった?」

確かめるように。
顔を埋めてくぐもった声が、不安げに聞こえた。

「忘れた。もー寝ろ」

あやすように背中をトントンしてやると、チャンミンが俺の脇腹に顔を押し付けて顔をフルフルさせた。

脇腹でそれすんな。
くすぐってーわ。

「僕はぁ、結構寂しい。いつもじゃないけど」

そう言ってチャンミンの手が、俺のシャツをギュっと握り締めた。

なにゆってんだよ。
出てったのはおまえの方だろ?と思う。

でもわかってる。
それはチャンミンが、ちゃんと考えて出した答えなんだって。

東方神起を守るために。
そして俺と離れないために、離れた。

言葉にすると変だけど、そういうことなんだ。

チャンミンは頭がいい。
だからチャンミンが出した答えは間違っていない。

「結構ってなんだよ。俺がいなくてせいせいしてんじゃねーのか」

自分の出した答えが不安になったのか?
そう思ったから、わざとなんでもないみたいに皮肉っぽく答えた。

「そのはずだったのに、想定外だ」
「なんだそれ」
「こんなはずじゃなかったのにー!」

悔しそうに言って、チャンミンが手足をジタバタさせる。

「こらっ、デカい図体して暴れんなっ」
「僕の有り難みを思い知れっ」

そう言って振り下ろしたチャンミンの手が腹を殴ったから痛くて、俺はその手を掴んで高く上げた。

「もー散々思い知ったって!おまえが出てってから自分ちなのにちっとも落ち着きゃしねー!やっと最近慣れてきたんだよ!これで満足か?!」

そのまま顔を覗き込んでやろうとしたら、俺の手から腕を引き抜いてまた脇腹におさまった。

「うん。だったらいい」

いいのか。そうか。じゃあもう寝ろ。

俺は言葉の代わりに、チャンミンの肩を抱き寄せた。

あったけー。

「ユノぉ、僕より先に結婚しないで。僕がしてからにして」
「なんでだよ」
「寂しいから」

なんだそれ。
結局それを俺にわからせたかったのか?

僕も寂しいんだ、って。

「んな余裕ねーし」

今頃かよ。
俺なんか、おまえが出てったその日から寂しかったわ。

「そっか。だったら、もうしばらく僕で、我慢、して…」

最後の方は声が小さくなって、そのまま寝息に変わった。

こいつも辛かったんだな、と思う。
俺は結局、チャンミンに答えを出させたから。
そうやって、いつも損な役ばっかりやらせちまってるのはわかってるんだよ。

ごめんな、頼りない兄貴で。

おまえの出した答え、俺が間違いなんかにしないから。

これでよかったんだと、おまえが思えるように。
おまえの選んだ俺とおまえの距離で、今まで以上に上手くやっていこう。

「我慢なんかしてねーし」

寝息を立てるチャンミンに言う。
俺はおまえといることに、我慢なんか感じたことないんだよって。

いちいち言葉にしなくても、ちゃんと伝わってるよな?チャンミン。





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2014-05-28 : 俺と僕の距離 : コメント : 6 : トラックバック : 0
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俺と僕の距離 3

東方神起 ユノ チャンミン

SIDE:CHANGMIN

今日の飲み会の面子は、キュヒョンと後輩。
といってもキュヒョンの同郷の練習生らしくて僕は初対面だけど。
収録が終わってからその3人で、僕が決めた居酒屋の個室に集まった。

「こんないい店、よく知ってたな」

感心したようにキュヒョンが言う。
実は僕もこんなおしゃれな店だとは知らなかった。

なんたってネットで探して予約しただけで、実際に店に来るのは初めてなんだ。

正直言っておしゃれかどうかより、場所が僕には重要だったから。

ま、それは僕だけの都合だし。
みんなには言わないけど。

と、思ったら。

「ここならユノヒョンの現場にも近いしな」

キュヒョンにさらっと言い当てられてビックリした。
そしてビックリしてる俺にキュヒョンが笑う。

「いや、今朝ドンヘヒョンから聞いてたからさ。昨日ユノヒョンと一緒に飲んでたらしくて、ユノヒョンがこの近くのスタジオで撮影するって言ってたって」

昨日はドンヘヒョンとね。
僕は知らなくてキュヒョンは知ってるわけだ。

…わかってるけど。僕のせいだし。
ユノは僕が出て行ったのは、自分のせいだと思ってるから。

ユノといるのが辛くなったのは確かだけど。
それはユノを嫌いになったからじゃなくて僕自身の問題なんだって何度も言ったのに。

ユノは何も言わないけど、自分を責めてるのは一緒にいればわかる。
今じゃ僕に遠慮して、自分から連絡を取ったり誘ったりは滅多にしなくなった。

離れている時は特に。

そうだよな、逆の立場なら僕もそうなる。
それどころか、ユノだからこそ僕はユノの隣にいるまま、自由にさせてもらえてるんだ。

だから僕が誤解を解かなきゃいけない。
信じてもらわなきゃいけない。

わかってるのに僕は…。




「チャーンミンっ!」

大声で呼ばれて肩をバシンと叩かれた。

「いたっ!」
「どうせまたユノヒョンのこと考えてんだろ?」

キュヒョンに言われて

「…うん」

僕は素直に認めた。
キュヒョンは親友だから、何でも話してある。
だからユノに言えてないいろんなこともわかってくれてる。

「相変わらずブラコンだな」
「いいんだよブラコンで」
「誰も悪いって言ってないだろ?」

僕たちのそんなやりとりを、キュヒョンの横にいる後輩が聞いていた。
興味津々って顔だ。

まだあどけなさが残る顔立ち。デビューしたての僕くらいか?

「チャンミン、実はこいつ、カシオペアだったらしいんだ」

そう言って後輩の肩に手を置いた。

「え?そうなの?」

どうりで身を乗り出して僕を見てるわけだ。

そんな彼に、僕は言った。

「君はユノのファンだろ?」
「は、はい。なんでわかったんですか?」

この世の女顔は、全員ユノペンだと僕は思ってる。そしてこの子は間違いなく女顔だ。
仕草も雰囲気も、ホントの女の子よりよっぽど可愛い。

テミンにカラム、ソンミニヒョンにヒチョルヒョン。
そして、今はいないあの人。
女顔は必ずユノにくっつきたがる。

これはもう鉄板と言っていい。
ユノの男らしさがそうさせるんだろうけど。

「あの…まだ僕、ユノさんとお会いしたことないんです。どんな方ですか?」
「君の知ってる通りだよ。カッコよくてダンスが上手い神様みたいな人。そして、僕の相棒」

最後の言葉に、室内が静かになった。
言いたいことはわかるな?

ユノに無駄に絡むな。OK?

「チ、チャンミーンっ」

なぜかキュヒョンが慌てた。声が上ずっている。

「おまえ目が笑ってないぞぉ。ビーム出すなよ頼むから」

出すなと言われても、そんなモン最初から出ないんだけど。
キュヒョンが続けた。

「で、おまえはこれからどうすんの?さっきからちっとも食べてないけど、わざとだろ?」

…相変わらずツッコミが鋭い。

実はそろそろユノの撮影が終わる時間だったりする。
ユノについてるマネヒョンに確認したから確かだ。
だからユノのいるスタジオの近くの店を選んだ。

なのに僕はまだ、ユノと連絡を取っていない。
もしかしたら予定が早まって、もう終わって引き上げたかもしれない。

煮え切らない僕を察したのか、キュヒョンが言った。

「ドンヘヒョンが言ってたよ。ユノヒョンはチャンミンのことばっか話してたって。チャンミンは努力家だ、ダンスが上手くなった、チャンミンは頭がいい。チャンミンがいなかったら自分はここまでやってこれなかったって」
「…」
「本人に言ったら?ってドンヘヒョンが言ったら、照れくさいって。可愛いね、ユノヒョン」
「あーっ、もうっ!」

限界だ。
何にって、素直じゃない自分に。

こういう時、どうするべきか本当は知ってるんだ。

僕は尻のポケットからスマホを取り出し、ユノにかけた。

「もしもし、ユノ?まだ仕事?…ご飯食べたのかなと思って…今飲んでるけど、まだ食べてないから…ユノと食べようと思って我慢してるんだけど。あーお腹すいたなーマジ腹減った、もう死ぬ…いや、いいよ。僕も出るから下で待ってて」

これでよし。
よかった。もう少し遅かったら手遅れだった。

「もうちょい素直に誘えないのか?」

呆れたように横で聞いてたキュヒョンが言った。

「いいんだこれで」
「結局チャンミンが駄々こねただけじゃん」
「だからそれでいいんだって。じゃないとユノは遠慮して絶対首を縦に振らないから」
「なるほどねー、さすがチャンミン」

当たり前だ。何年ユノといると思ってるんだ。
ユノのことならユノ自身より僕の方がわかってる。

さて、と立ち上がった時。

僕とキュヒョンのやり取りを聞いたのか、女顔の後輩がこともあろうにこう言った。

「ユノヒョンが来るんですか?」

誰が呼ぶかっ!
軽く睨み付けたら

「ひっ!」

恐怖に顔をひきつらせ固まった。
邪魔だ、そこで石になってろ。

「行ってくる。悪いなキュヒョナ」
「いいよ、今度おごって」
「OK」

ようやくスッキリして、僕は軽い足取りで店を出た。




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プロフィール

りこねぇ

Author:りこねぇ
昔、道端で踊ってましたね。あ、そうそう、バンドもやってました。ユノのダンスとチャンミンのハイトーンボイスが好きです。あと、東方神起の動画作るのにハマってます。

NewRelease

自作動画

YouTubeにアップしている動画です。よかったら見てやってください。
ユノに大好きな曲を踊ってもらいました。本当にユノが歌いながら踊っているカンジにしたかったんですがどうでしょう^^;

Special Thanks

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